裏路地に入る直前の曲がり角にあるとある中華料理屋。そこで料理人をしている店主の田中さんの中華はとにかくオバサンぽい。なぜなら酢豚にパインを入れるから。今時お店の酢豚でパインを入れるなんてナンセンスもいいところだと思うけれど、田中さんいわくはこれが広州料理なんだそう。広州に行った事はないので知らないですが。それに反発するのは客であるみなみさん。酢豚にパインは入れるなと言っても必ず無視されるという徹底ぶり。あれほどMYコミュでも言ったのにここまで無視されるとなんだか清々しい気分にまでなってくる。
腹の立つ事にそこそこ美味しいから激昂してしまうのだ。香ばしく揚がった豚の唐揚げを惜しげもなく甘酢の中へ。染みた衣から滴る適度に酸味を帯びた味わいが何とも言えない。絶妙のハーモニーに醸しだす玉ねぎの甘みと甘酢の酸っぱさ、そしてジューシーな豚の唐揚げ。肉汁一つ逃がさずに揚げる技術は素人目にも凄い技術だと分かる。だからこそパイナップルなんて使うなと思ってしまう。ここはハワイではなくトロピカル酢豚なんていらないからだ。
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